自伝

僕は普段の生活のなかで頻繁に電車を使ったりしていないので、通勤や通学で電車やバスを使っている人たちのように、移動中に本を読んだりということがありません。歩きながら読んでもいいんですが、十分足らずの時間なので本を読むよりも頭の中で考えを巡らせながら歩くことが多いのです。なので、今回のバルセロナ行きのようにまとまって身動きのできない時間があると、本を読む時間に充てられるので少し嬉しいのです。

今回のバルセロナ行きには5月に日本に行ったときにまとめて買ってきた本のうちからベンジャミン・フランクリンの『自伝』の文庫本を選んで持って行きました。フランクリンがボストンの印刷職人見習いから身を立てたというのは初めて聞く話でしたし、商才があったのも知りませんでした。アメリカ憲法草案作成者という政治家の顔と避雷針などの発明者という科学者の顔の両方があるのは知っていましたが、今まではそれがどうもいまいち結びつかなかったのです。それがこの自伝を読んでようやく同一人物として納得がいきました。時代に敏感で、文才と理論的思考能力に長けた合理的主義哲学者だったのですね。

フランクリンの自伝がとても面白かった(すごく楽観的で悩みのない自伝だったので拍子抜けしましたが)ので、いろんな人の自伝を読んでみたいと思いました。次は福沢諭吉の『福翁自伝』やカーネギーの自伝あたりを読んでみようと思います。それを探す途中で見つけた新渡戸稲造の『Bushido』も読んでみようかと。あとは同じく英文で書かれた本ということで新渡戸稲造と同時代の岡倉覚三(岡倉天心)『The Book of Tea』も読んでみたいです。

(ふたつとも原著は英語なんです。ちょっと読んでみましたが、日本人とは思えない英文の文章力・・・文系の論文を書く日本人ってこんなん書けるのかなー、すごいなー)

もっと時間のあった十年前に読めたら良かったなぁ。それでも二十代のうちにこういう良書に興味が持てたということでヨシとします。