スターウォーズ・エピソード3雑感

スターウォーズの新作についてはいろんな人がいろいろなところで書いているのですが、思ったことを書いてみたりします。ライトセーバーの色だとか、乗物や建物のデザインだとか、ストーリーがどうやってエピソード4につながるかとか、そういうことではなくて、もうすこし思想や哲学っぽいところを。ネタバレしますので、まだ見ていない人は注意。

エピソード3に限らずどんな映画でも登場人物が、得られた情報をもとに状況判断をしていく姿が描かれているのですが、エピソード3の場合は「この場合はそれしか選択の余地がないよなー」と思えるような行動をとります。エピソード2からこの雰囲気はありましたが(クローンを使わなくてはならない状況になったとか)、エピソード3ではそれがより顕著に表れています。特にオビ=ワンとアナキンは、自分が理想とする未来と自分の取るしかない行動がもたらす結果のギャップに葛藤し、悪い結果が予期できるだけに、なおさら苦しみます。

各登場人物は“自分にとって最適と思われる行動”をとります。エピソード3では自分自身が信じる正義に向かって突き進んでいるように思えます。メイス・ウィンドゥはひたすらジェダイ評議会の安定のため、アナキンはパドメを救うため、オビ=ワンはジェダイ評議会とアナキンとパドメの間に立ちますし、適役であるパルパティンにしても民主主義ではなく帝国という形を信じて銀河に安定をもたらそうとしています。どの人物も自分の正義を優先して行動して、結局はそれが絡み合って必然的にアナキンがダークサイドへと堕落し、銀河の暗黒時代が訪れるのです。

つまりエピソード3の根底に流れるテーマは「正義は相対的なもの」だということのような気がします。もしかしたら、僕が物事をこういうふうにとらえているから、そう感じただけかもしれませんが(昔から勧善懲悪ものよりも喧嘩両成敗ものが好きでした)。どちらにせよ二時間半程度の映画にまとめるにはテーマが濃すぎるような・・・ルーカスも悩んだだろうなぁ。