パソコン=孤独?

ネットで知り合って集団自殺をしようとして、生き残ってしまった大学生が殺人幇助で裁判を受けました。その判決に際して、

裁判官は、パソコンが趣味の大学生が特定の掲示板を通じて自殺サイトに接するようになったとの調書を取り上げ、「君はマイナスの情報を拾った。見ることを考え直した方がいい」とした。さらに、「孤立する原因は人づき合いにある。パソコンだけと向き合うのでなく、いろいろな人とつきあうことが君には欠けていた」と語った。 (朝日新聞 2005年6月6日)

とのことなんですが、パソコンとインターネットの普及によって、身の回りの人間だけでなく、世界中の人間とのつきあいが可能になったのは事実なんです。ネットを使ったコミュニケーションができず、身の回りの人間とのつきあいしかなければ、自殺したい人々が各地から集まることはなかったんです。裁判官の「パソコンを使う」イコール「人付き合いが減る」という認識は改めてもらいたいです。もちろんネットというフィルタを通してのつきあいしかできないのは事実ですが、1980年代からすでにパソコン通信によって「いままで出会う機会のなかった人と出会える」という状況はできていたのです。とかく新しい技術は叩かれがちです。ネットの発達は、自殺をしようと考えた原因ではないですし、孤立した原因でもないのです。