コサイン窓

音楽にフェードイン・アウトをかけるときには、音圧に対して直線でかけたり、等パワーになるように2次曲線を用いたりしています。それは「Pro Toolsのデフォルトだから」だったり「音量感があまり変化しないように」だったりするわけで、フェードが音に及ぼす影響についてはあまり考えたことがないのではないでしょうか。

実験に使う音にフェードが必要なときには、僕はコサイン窓を使うことが多いです。これは学生時代に先生から「スペクトルに影響がないように、とりあえず50msのコサイン窓かけといて」と言われたのを守ってそのまま使っているだけで、これまで特に詳しく考えたことがありませんでした。

そこで試しに48000点のHanning窓を作り、fs=48000Hzでスペクトルを見てみたところ、右図のようになりました。低域にエネルギーが多く、20dB/octくらいで下がっていきます。同様にコサイン窓を作ってスペクトルを見ようとしたら、うまく描けません。それもそのはず、コサイン窓は1Hzの純音と同じことなので、1Hzにしかエネルギーがないのです。なるほど、フェードをかけることで不要な周波数成分が付加されてしまうことを防ぐためにコサイン窓をつかっていたのですね。

こんなの初歩の初歩かもしれません。もっと信号処理を勉強しておけば良かったと思う秋の昼。