Audacityの録音は数十サンプルずれることも

手軽に音響測定ができるような無料システムとして、Octaveで動く測定信号生成プログラム&分析プログラムを作成し、学生に使ってもらっていました。再生・録音には学生の持っているシステムを使ってもらっていましたが、特にProToolsなどを持っていない学生に薦めるのはAudacityが良い(無料だし)と考えていました。ただ、自分自身は普段の音響測定の時にはProToolsなどを使い、録音ソフトとしてのAudacityの精度は余り信用していませんでした。

その精度を調べるために、オーディオインターフェースのアウトとインを直接接続して、ソフトでSwept Sine信号を再生しながら別トラックで録音することで、「マイク+スピーカー+部屋」がない状態での応答(録再システム全体の遅延時間と周波数応答)が測定できます。OSはMac OS X 10.5.8、インターフェースはM-Audio Firewire 410、ソフトはLogic Pro 9.1.4、ProTools M-Powered 8.0.5、Audacity 1.3.13を使いました。

結果、LogicとProToolsでは、測定を繰り返しても遅延時間に1サンプルも変化はありませんが、Audacityでは測定ごとに数サンプル〜数十サンプルずれるという結果になりました。

再生した音が録音されるまで、Audacityはもともと150msほど遅れるのですが、そこから±1msほどずれることもあります。毎回同じ時間ずれるのであれば全く問題ありません。でも、その“ずれ時間”が毎回変化し予測できないので、時間に厳密な測定には使えそうにありません。編集ソフトとしてのAudacityは便利で重宝しているのに、この精度の悪さは残念です。