自分自身のことよりも他人のことを理解するのが先決

前から有名な大脳生理学者でしたが、「バカの壁」で以前にも増して有名になってしまった養老先生が朝日新聞にこんなことを書いていました。

学校や企業、組織の中にいると、よく「個性を磨け」とか「個性を伸ばせ」と言われます。個性は人間一人ひとりが持っているもの。善きにつけ、あしきにつけ、その人に備わっている。個性を伸ばせといっても、その人が持っているものだから、他人はどうしようもない。

そんなことは私にはどうでもいいことで、「人のことが分かる」方が大事だと思いますよ。人のことが分かる人ほど、周囲には個性がないように見せていますよ。人のことが分かるには、相手をよく観察する目が必要です。その人への関心、好奇心がないと、人のことは分からない。分かろうとする努力もいる。仕事でも人間関係でも、好奇心が原動力。「こんなことやって何になる」と言っているようでは、いい結果は出ません。

個性は磨こうとしたり伸ばそうとしたりしなくても自然と何とかなる、と。それよりも共同作業や研究に必要なコミュニケーション能力を伸ばすことが先決である、という話でした。