付加情報の有無で

gogh.white-house.small.jpg付加情報のない状態で読んだ文章や眺めた絵画の印象が、付加情報が与えられただけで一気に変わることがあります。たとえば「オクヤマさんという人がテレビでこんなことを言ってました。『吉野家の牛丼を食べ切れたときが、うれしかった』。」ですとか、「おはようからおやすみまで、あなたの暮らしを見つめるライオン」とか、右のゴッホの絵画とかです。

これに付加情報を付け加えると、「オクヤマさんは余命2年と宣告されたガン患者。31歳。一時退院中の身でした。(週刊朝日2005年6月24日号)」という情報が追加されることで、それまで滑稽にしか読めなかった「ヨシギュウを食べ切れたとき」の情景が感動やうれしさに変化します。

ライオンに関しては「おはようからおやすみまで、あなたの暮らしを見つめるライオン。そんなものがいたら私は生きてゆけない。(佐々木宏)」という後半の一文が追加されるだけで滑稽になりますし、ゴッホの絵に対する追加情報は「この絵画を描いた翌月ゴッホは自殺しました」というもの。

付加情報を知ってしまうことで、同じ対象物であっても以前と同じ見方や感じ方をすることはできなくなります。とても不思議なことだと、僕は思います。