事業の道徳

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの自伝より

大事業というものは、きびしい誠実さの上にだけ築きあげられるもので、それ以外のなにも要求しないのである。うまく立ち回るとか、すばしこい取引きをやるなんていう評判が立ったら、大きな商売には命取りになる。法律の文言ではなく、その精神があらゆる取引きの規準でなければならない。商業道徳の規準は現在、非常に向上している。なにかの思い違いで、一商社が不当の利得を得た場合、その商社は、相手の損失にならないよう、さっそく訂正している。ある商社が、たんに法にしたがうというばかりでなく、相手方に公平と正義をもって接するという評判は、その商社の永続繁栄の基となるのである。私たちが採択し、また遵守した「疑いのある時には、いつも相手方に部をあたえること」という方針は、想像以上の多くの報酬をもたらしたのであった。こうしたことはもちろん、投機者の社会では適用されていない。あの社会ではまったく違った空気が流れている。彼らは賭博者なのである。株の投機とまともな商売とは両立しない。最近ではロンドンのジュニアス・S・モルガンのような古風な銀行家は、たいへん少なくなったのを認めないわけにはいかない。

基本的な考え方はやっぱり「Win-Win」であるべき、ということなのかもしれませんね。