コーヒー試飲会

授業で「二項検定」を扱いました。例えば、サイコロ賭博をやっているとき、1の目が10回中10回出たら「おい、そのサイコロ、いかさまじゃねぇか!?」ということになります。では、10回のうち1の目が何回以上出たらいかさまを疑った方が良いのでしょうか、というような問題を解くときに使います。たとえば、サイコロを10回振ったら同じ目が5回出たとします。帰無仮説は「サイコロはどの目も6分の1の確率で出る」、有意水準5%で検定してみます。まずはR言語

binom.test(5, 10, 1/6)

とすることで「1/6の確率のものが10回のうち5回成功したとき」を検定します。結果はp=.01546 < .05なので、帰無仮説が棄却されます。つまり、このサイコロは理想的ではなさそうだと言えるわけです。

実際の授業では、味のよく似たインスタント・コーヒーの瓶を4つ用意し、ABX法を用いて学生全員で飲み比べを行いました。まずコーヒーAとコーヒーBを順次飲み、次にXとして渡されたコーヒーAあるいはコーヒーBを飲み、XがAとBのどちらだったかを言い当てるものです。Xは必ずAかBなので、AとBが同じ物であれば正解率は50%に近づきますし、AとBが全く違うものであれば正解率は100%に近づきます。

用意したコーヒーはABCDの4瓶だったのですが、実はAとDの中身は同じ物だったのです。AとDの間では有意差が出ず、それ以外は5%有意水準すれすれだったりハッキリ出たり、クラス全体で見ると高い精度で味の違いが分かるようでした。統計部分の説明が下手で、どれだけ理解してもらえたかは不安が残りますが、面白い実験になりました。(未成年者がいない放課後授業だったら、ワインの飲み比べをしても面白かったかも)