研究

t検定(1群)

「二項検定と二種類の過誤 - 丸井綜研」で、Common Lispで二項検定ができるようになりました。今日は1群のt検定を実装したいと思います。 t分布 t検定をするには、まずt分布の確率密度関数と累積分布関数を作る必要があります(検定だけなら累積分布関数だけ…

二項検定と二種類の過誤

先日、二項分布の累積分布関数を計算できるようになりました。 marui.hatenablog.com これを使って、簡単な二項検定をやってみたいと思います(あまりLISPとは関係ない内容ですが)。題材としては、ジャンケンにやたら強い人がいて「俺には天から与えられた…

TSP信号の生成

インパルス応答 OATSPの数式 Common Lispで試す 時間領域にもっていく 関数にした インパルス応答 頭部伝達関数を測定したり、スピーカーの応答を測ったり、室内音響指標の計算に使ったり……インパルス応答が測定できると色々と便利です。すでにMatlab、R、Ju…

線形混合モデルを(Juliaで)理解したい

以前「線形混合モデルを理解したい」という記事を読んで、Rで線形混合モデルを試したことがあるのですが、今回は、Juliaで同じことをやってみたときにハマったところを書き残しておきます。 やりたかったことは、前述の記事からもってきた以下のようなコード…

Juliaで基音周波数の推定(YINの解説)(Julia Advent Calendar 2021)

これはJulia Advent Calendar 2021の25日目の記事です。これまでにこのブログで書いたJulia Advent Calendar記事は以下の通りです。 楽器音の分析とスペクトログラム (Julia Advent Calendar 2018) - 丸井綜研 パワースペクトル計算の2つの方法 (Julia Adven…

JuliaからRCallを使ってANOVA君を呼び出す

ANOVA君は、井関龍太氏が開発している、Rで動作する分散分析プログラムです。様々な実験計画に対応できるようになっており、分散分析に加えて多重比較や単純主効果の検定もやってくれます。自分ではlm()とかaov()なども使ってはいますが、ANOVA君は一回の関…

AES147 New York技術発表より

10月16日(水)〜10月19日(土)に行われた147th AES Conventionに行ってきました。AES Conventionは大きく製品展示と技術発表に分かれます。僕は技術発表を中心に参加して30件以上の発表を見聞きしましたが、その中で個人的に面白いと思った発表をいくつか書き…

PinkTSP信号をJuliaで作る

Julia言語でPinkTSP信号を作るプログラムを書いた。とは言っても、以前書いたMatlabのものをそのまま移植しただけ。そもそも参考にしたのは以下の文献。 藤本卓也. “低域バンドでのSN比改善を目的としたTSP信号に関する検討.” 日本音響学会研究発表会講演論…

室内音響指標C値の計算 (R Advent Calendar 2013)

あけましておめでとうございます。R Advent Calendar 2013の32日目の記事です。僕の専門は音響と心理との学際領域で、ふだんは音に関する主観評価実験の準備・分析にMatlabやRを使用しています。今回は室内音響分野で使われる計算をRでやってみます(その分…

シェッフェの一対比較法(中屋の変法)

先日の浦の変法に続き、シェッフェの一対比較法(中屋の変法)を実装してみました。佐藤信『統計的官能検査法』(日科技連出版社)に書かれている方法をそのままコードにして、今度はp値の計算結果も表示するようにしただけです。詳しいことは同書を参照して…

シェッフェの一対比較法(浦の変法)

自分の仕事でよく使うシェッフェの一対比較法(浦の変法)を、Rの勉強がてら実装してみました。佐藤信『統計的官能検査法』(日科技連出版社)に書かれている方法をそのままコードにしただけなので、詳しいことは同書を参照して下さい。使用例は以下の通り。…

数字を読み上げる音声ファイルを作る

主観評価実験をするときに、刺激を逐次呈示して、それに対する評価を記述してもらう方法があります。10個程度の刺激ならあまり問題にはならないのですが、刺激が多くなると、いま何番目の刺激なのか、いま使っている回答欄は正しいのか、など不安になること…

Excel 2011で95%信頼区間を計算する

普段はMatlabやRやSPSSで統計処理をしているのですが、Excelしか使えない場合もあるので、Excelでも簡単な統計処理はできるようにしています。そんな中で、何年か前に、信頼区間の計算でつまづいたことがあったので備忘メモです。Excel 2008にはCONFIDENCE関…

東京事変『林檎の唄』のクラビを聞く

東京事変のファーストアルバム『教育』の第1曲目にクラビネットが入っている『林檎の唄』があります。右方向から音が出ていますが、ヒイズミマサユ機がどんな演奏をしているのか詳しく聞きたかったので、クラビネットを強調するプログラムを書きました。 [x,…

Octaveによる主成分分析の計算

Matlabにはprincompという主成分分析を計算する関数があるけれど、Octaveには見あたらなかったので、英語版Wikipediaに書かれていたやり方どおりに作ってみました。 [pc, score, latent] = princomp(A); みたいに使えます。pcが主成分の係数、scoreが主成分…

情動の種類

メモ的に書いておきます。Shaver (1987)による階層構造になった情動の分類。基本5情動というのはLove、Joy、Anger、Sadness、Fearですね。 快 Love Fondness Infatuation Joy Bliss Contentment Pride 不快 Anger Annoyance Hostility Contempt Jealousy Sad…

AHP

昨日まで参加していた音楽音響研究会に、ファジーAHPというものを用いた研究が発表されていました。AHPとはAnalytic Hierarchy Processの略で、日本語だと階層分析法と言うらしいです。複数の対象から一つを選ぶという意志決定を行うときに、対象から一つを…

Matlabで2次元プロット

論文に載せる2次元プロットを作成するとき、僕はMatlabを使って以下のような感じで書いています。多次元尺度法の分析結果を図にするときに相性がいいですよ。背景になる部品から順番に重ねていく必要があるので、まずは縦軸と横軸を書きます。grid onでグリ…

vDSP関連サイト

Matlabでやっていた信号処理をC/C++/Objective-Cあたりでガリガリやってみようと思い立ちました。そこでAppleのAcceleration Frameworkを使ってみようと思ったのですが、Appleのサイトにはリファレンスとサンプルプログラムくらいしか頼りになるものがなくて…

sound qualityとsound characterの邦訳

Francis Rumsey ``Spatial Quality Evaluation for Reproduced Sound: Terminology, Meaning, and a Scene-Based Paradigm'' Journal of Audio Engineering Society, v.50, n.9, pp.651--666, Sep 2002を再読中。日本語で説明しようとして、sound qualityとs…

Mac OS X用の数値計算ライブラリ

Mac OS Xで簡単に使えそうなBLASやLAPACKみたいな数値計算ライブラリを探していたら、Accelerate.frameworkなんてのが出てきました。なんと、Mac OS XにデフォルトでBLASもLAPACKも入っているではないですか。しかもvImageやvDSPという画像処理・信号処理の…

プログラム修正

過去に書いたMatlabプログラムのうち、どうもうまく動いていないようだった部分をまとめて修正しました。最大のミスは、音ファイルの周波数特性を描き、それを1/3オクターブ幅で平均してくれるプログラムのはずが、1/3オクターブ刻みのそれぞれにおいて、バ…

MUSHRAをMax/MSPで実行する

MUSHRA (MUltiple Stimuli with Hidden Reference and Anchors)という実験手法があります。これは知覚符号化音源など、違いの小さな複数の音刺激の音質評価を行うために開発された手法です、複数(10個くらい)の刺激をボタンで切り替えながら試聴し、それぞれ…

音の周波数特性を描くMatlabプログラム

音の周波数特性を描くMatlabプログラムを改善したので、メモ的に置いておきます。今回の目玉は「1/3オクターブごとの平均値を描くようにした」です。500-2000Hz帯の平均値が0dBになるようにスケーリングしています。

R言語で分散分析(と多重比較)

例えば、A〜Eの5種類の肥料をそれぞれ別の畑で使ったときのジャガイモの収穫量を表す以下のようなデータがあったとき、肥料による収穫量の明確な違いがあるかどうかを調べようと思います。一元配置の分散分析(対応なし)を行います。(ジャガイモ収穫量の表…

MIT全教員の論文がオープンアクセス

MIT全教員の学術論文が無料でアクセスできるようになりました。自分が過去に書いた論文なんかは全部公開してしまいたいんですが、頒布権が学会に属しているものもあるので、なかなかうまくいきません。僕の分野の学会で言えば、Acoustical Society of Americ…

シェッフェの一対比較法(中屋変法)のMatlabコード

研究で必要になったので、佐藤信『統計的官能検査法』(日科技連 1985年)を参考に、シェッフェの一対比較法(中屋変法)による分散分析を行うMatlabスクリプトを作りました。実のところ「参考にした」どころではなく、書いてあった手計算のアルゴリズムをそ…

日本音響学会2009年春季研究発表会

今日の目当てはHRTFの特別セッション。千葉工業大学の飯田さんの発表が面白かったです。僕が会津大学にいた時に、修士生が取り組んでいた問題に似たものですが、基礎的な部分で解決しているので、とても応用範囲が広そうです。関連文献は以下(ElsevierのApp…

でたらめ選択がどのくらい有り得るものなのか(後編)

昨日は、「2つ聞こえた音は同じものですか?」という問いに対して「はい」か「いいえ」で答えさせるタイプの実験を行ったとして、2項分布を使った分析方法について紹介しました。これにより、例えばWAVとMP3を聞き比べて、それらが同じように聞こえるかどう…

でたらめ選択がどのくらい有り得るものなのか(前編)

音響心理実験で「2つ聞こえた音は同じものですか?」という問いに対して「はい」か「いいえ」で答えさせるタイプの実験があります。たとえば、CDからリッピングしただけのWAVファイルと、それをMP3化したものの音質が聞き分けられるかを調べたりする実験なん…