以前、Line 6 Sonic Port VXを褒めちぎる記事を書いた。下はそこからの引用。
入力側は、スイッチでモノラルに切り替えもできるステレオマイクが内蔵されていて、ギターやベースが接続できるHi-Z入力もある。出力側はヘッドフォン端子と標準フォンL/R出力がついている。そしてWindowsならASIO対応。しかもコンパクトでUSBバスパワーで動くので、ケーブル1本でPCと接続できるオーディオインターフェースとして秀逸なのだ。 (中略) 切り替え式とはいえ声もギターもインターフェース1台だけで入力できるのは、使い勝手がとてつもなく良い。
この後に「代わりになる製品を探しているのだが、マイク内蔵でギター入力があるというものが見つからない」と書いたが、複数の製品を組み合わせて作ってみることにした。要件は以下の通りである。
- マイク内蔵が理想。内蔵じゃなくてもいいけど、ケーブルやマイクスタンドは使いたくない。グースネックは消極的に許す。
- たまにはステレオ録音したいかもしれない。でも基本的にはマイクはモノラルでOK(オンライン会議に使うくらいなので音質はもこだわらない)
- ギター用にHigh-Z入力がほしい
- WindowsではASIO対応してほしい
- バスパワー動作してほしい(コンピュータとはケーブル1本で接続したい)
- とにかくコンパクトで、できれば安いほうがいい
まずギター入力があってUSBバスパワーで動くものなら、YAMAHA AG03 mk2 (amzn.to/4kP79QV) やIK Multimedia AXE I/O ONE (amzn.to/4l7PrI0) のような製品がある。マイク用のXLR端子もあるので、そこに小型のマイクを接続すればよいのだが、持ち運ぶのにはいくぶん大きい。フェーダーやノブが大きくて使いやすいしエフェクトも付いているのはよいが、もっと小さくしたい。
そこで考えたのが、上の写真のように、インターフェースにペンシルマイクを直接つなげる方法だ。写真にあるのはRME Fireface UCにSennheiser MKH 8050(超単一指向性のコンデンサーマイク)をつけた状態。ただ、自分が考えていた「お気楽に使いたい」用途には高価すぎる。インターフェースは当時15万円くらいだったかな。現行の後継機種であるRME Fireface UCX IIは25万円くらい (amzn.to/3HZeYVK) するし、マイクも1本で同じくらいの価格 (amzn.to/4l9s9lO) だ。電源ケーブルも邪魔だし、もっとコンパクトにしたい。
で、いろいろ調べて行きついたのがZoom AMS-24 (amzn.to/4495yOW) に設備用マイクを付ける方法だ。コンパクトだし、2万円でお釣りがくる。
AMS-24は2 in / 4 outの小型オーディオインターフェースで、入力はコンボジャックでXLRと標準フォンの両対応。そしてInput 1はギターなどのハイインピーダンスにも対応できる。入力それぞれをゲインつまみで調節することで、楽器とマイクのバランスをとる。マイク2本でステレオ録音する際にはステレオリンク機能をオンにして、左側にあるつまみでL/R両方のゲインを同時に調節する(もう一方のゲインつまみは無効になる)。側面に48 Vファンタム電源スイッチがあり、コンデンサーマイクも使用できる(2つのマイク入力両方に電圧がかかる仕様なので、ダイナミックとコンデンサーの組み合わせは使えない。楽器とコンデンサーマイクの組み合わせは……たぶん行けるのでは、シランケド*1)。
メイン出力である出力Aは背面にL/Rの標準フォン端子がある。出力Aはステレオミニフォン端子として前側にも出ている。出力Bという追加のステレオ出力は、前面にもうひとつ出ているステレオミニフォン端子を使う。出力レベルはA/Bそれぞれのためのつまみがある。小さいながら4出力があるのは便利だ。つまみで出力レベルを下げていくと片側チャンネルだけ先に音が消えてしまうようなデバイスもあるなか、今のところAMS-24は気にならない。ループバック機能やダイレクトモニタ機能もあり、価格帯を考えると素晴らしい出来だと思う。1万5000円くらい。
マイクはダイナミック型で安いもの、そしてできるだけコンパクトなものとして探したところ、トークバックマイクとして販売されているTOMOCA GM-12 (amzn.to/45AAcmy) を見つけた。Yoga Microphoneというブランドの箱に入って届いたので、パチモンを掴んでしまったかと思ったが、これが正規品のようだ。このマイクは声に特化しているので、周波数特性は80 Hz~15 kHzと狭い。インピーダンスは600オームと硬派?だ。もっと短くて軽ければ最高だったが、しょうがない。3500円くらい。
やってみてわかったのだが、マイクが口元から遠くになり周囲の雑音を拾いやすいのが残念ポイントだ。キーボードのほうがマイクに近いので打鍵音を拾いやすい。グースネックをつけたりマイクスタンドを使ったりするのは本来の目的から離れてしまうし、マイクはそれほど使わない予定なので、とりあえずこれで良しとする。
ちなみに写真のなかでインターフェースの後ろに映り込んでいるのはIK Multimedia iLoud Micro Monitor (amzn.to/3Todbfv) だ。3インチドライバーのコンパクト設計ながら、なかなか良い音が大音量で鳴らせる。
*1:【2025-06-25追記】オペレーションマニュアルp.15に説明があった。まず、ファンタム電源はXLRのみに供給される。さらにMIC/GUITAR端子がGUITAR側になっているときには、INPUT 1のファンタムは無効になる。なので、ギターとコンデンサマイクの組み合わせも使える。