いい結果が出ないなぁ

「音色 (timbre)」の定義は「音程・音長・音量が等しいときに、二つの音を区別するもの」ということになっています。でも、これは「~以外のもの全部」というネガティブな定義なので、音色そのものについては何も言っていないのと同じなんですね。じゃぁ、音色ってのはどんな成分から成り立っているんだろう、というのが自分の研究課題なんです。とりあえず会津大学でやった研究によって音の「鋭さ」というのが音色の中ではもっとも目立つ成分だということが分かり、その「鋭さ」を均一にするやり方を開発しました。これである程度の音なら同じ「鋭さ」にすることができるようになりました。これは音響業界の先人たちが残してくれた成果を増強するようなものでした。

今度は「鋭さ」の次に目立つモノを探しています。いまも会津での実験結果を基にして解析をやっているんですが、鋭さというものがあまりに強すぎて、鋭さを均一にした二つの音を聞くと「違うことは判断できるけど、何が違うか分からない」という状況になってしまうようです。先月は「音の中の“何”が違いの判断に寄与しているのか」をずっと探っていたんですが、これがなかなか難しい。自分でも音を聞いてみると「うむ、確かに違う」と確認できるんですが、じゃぁ何が違うのかと考えると「音の太さというか厚みというか暖かさというか・・・」と説明できないモノなのです。鋭さは高音域と低音域のバランスに関係していました。僕が探しているあのモノは、周波数成分がどういう風に並んでいるかに関係しているみたいですが、それをきちっとした形で表現できないんですね。困った困った。