Quiet Comfort 2

Boseのノイズ・キャンセリング・ヘッドホン、Quiet Comfort 2を入手しました。現在販売されているノイズ・キャンセリング・ヘッドホンのうちでも最高峰のもので、騒音低減効果も音質もピカイチだという評価を受けている、アレです。まだヘッドホンのエイジングが済んでませんが、とりあえずファースト・インプレッションを・・・。関連してヘッドホン13機種測定結果(英文)もどうぞ。

Sony MDR-7506 and Bose Quiet Comfort 2騒音低減機能ですが、先日レビューしたソニーの格安インナーホンとは比べものになりません。価格差から言っても比べものになっては困ります。ヘッドホン本体だけでもけっこうな遮音性能(とくに1kHz以上の音)があります。アクティブ・ノイズ・キャンセラーのスイッチをオンにすると、約1.5kHz以下がフェードアウトして聞こえなくなります。12dB〜24dBほど静かになったんじゃないかという印象。かなり低い周波数まで消えてくれます。超低周波数と高周波数を除いた中域に限って言えば、無響室に入ったときの耳鳴りのような感覚が味わえるほどです。ノイズ・キャンセリング・ヘッドホンにありがちなホワイトノイズも、Sony製品に比べるととても自然なチューニングがされていて、録音時のバックグラウンド・ノイズのような音質になっています。そのため音楽再生時にはほとんど気になりません。

音楽再生の音質ですが、周波数応答(B&K HATSにて5回測定したものを平均/参考にSony MDR-7506も載せました)を見ても分かるようにフラットではありません。低域と高域が強調され、中音域が広く欠けているようなかんじです。そのためクラシックにおいては、ピアノやバイオリンが中痩せしてしまって薄っぺらく哀れなほどです。ただ、63Hz帯を中心として低周波帯域にびっくりするほどの増幅がされているので、ロックやポップスのドラムがずしんずしんと響き、特にメタルやヒップホップのバスドラムが存分に楽しめます。6kHz付近のピークもあり、派手なアクション映画にも良いでしょう。おそらく飛行機内の騒音に負けないような音質デザインなんでしょうね。

また、立体的な定位感が強く出ているような気がします。特に中央定位の音は輪郭がはっきりしています。つまりドライバーの左右差が少ないということで、これは良いことです。ただ、スイッチを入れないとヘッドホンとして音楽を聴くことができない設計なのは残念です。まだ飛行機や電車での試験はしてないので、その評価ができていません。次に飛行機に乗るときにはかなり快適な旅ができるだろうと楽しみにしています。

試してみたCD:

宇多田ヒカル「Singles」

・Viktoria Mullova / Seiji Ozawa / Boston Symphony Orchestra「Tchaikovsky: Violin Concerto」

・Joey DeFrancesco「Incredible!」

Dream Theater「Metropolis Part 2: Scenes from a Memory」

・映画DVD「踊る大捜査線 The Movie 2〜レインボーブリッジを封鎖せよ〜」

・自作の音質評価サンプル集

【追記】ヘッドホンを頭に再セッティングするたびに音質がかなり変化することに気づきました。ちょっとヘッドホン位置を変えるだけで、櫛形フィルタの谷部分が動きまくります。他のヘッドホンではこんなに大きく変化しない気がするんですが、どうなんでしょう。中音域があまり出ないのは変わりありませんが、高音域の音質が結構変化するので好みの音になるような調整が必要です。