あの頃のまま

同じ研究室のカナダ人が、自分はどうしてもこの研究に向いていないと言って、今学期限りで退学するつもりだと打ち明けました。学部でピアノ演奏を専攻していて、その後にMcGillでトーンマイスターの修士号を取り、僕と一緒の時期に入った四人のPh.D.の一人でした。もともと理系分野はまったく勉強していなかったところに、博士課程に入ってから統計学やらプログラミングやら心理学やらの知識を要求されたので、かなり大変だったんでしょう。音楽と社会学に関係するテーマでやりたい研究があるのだそうで、近所のConcordiaに応募するそうです。

6畳もない狭い研究室の同室住人として毎日のように顔を合わせて一年過ごしてきたわけで、さびしくなるなーと思っていたところに、ブレッド&バターの『あの頃のまま』がiPodのシャッフル再生でかかって「幸せのかたちにこだわらずに、人は自分を生きていくのだから」と歌っていました。夢を追う自分と夢を捨てた友人の歌だから、研究を続けたいという彼とは違うけれど、なんとなくタイミングが良かったので許してつかわす。その次の曲はThe Alan Parsons Projectの「Day by Day (The Show Must Go On)」でした。これもそれっぽい気が。