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でたらめ選択がどのくらい有り得るものなのか(後編)

昨日は、「2つ聞こえた音は同じものですか?」という問いに対して「はい」か「いいえ」で答えさせるタイプの実験を行ったとして、2項分布を使った分析方法について紹介しました。これにより、例えばWAVとMP3を聞き比べて、それらが同じように聞こえるかどうかが調べられます。この実験はdiscrimination task(弁別課題)と呼ばれる方法*1で、「2つのものが異なるかどうか」だけが分かりますが、実は実験手続きに問題があります。

「はい」か「いいえ」で答える場合、人によって「はい」と答えやすかったり「いいえ」と答えやすかったりするので。回答に偏りが出てしまうのです。僕が「2つの音は同じものですか?」と聞かれたら、見栄を張って「いいえ、わずかに違います」と答える回数が多くなってしまうと思います。

そこで使えるのがABX法という方法です。まずAとBの音を(順序はランダムに)再生し、実験参加者はその後に再生されるAかBのどちらかを当てるという流れです。ABXの名前は、3つめの音であるXがAとBのどちらかを当てる、というところから来ています。この方法であれば「はい/いいえ」の答えやすさによる偏りを抑えることができます。

*1:discrimination taskに対して、聞こえた音が○○であったかどうかを調べるためのidentification task(識別課題)というものもあります。