鬱と行動療法

アラクノフォビアという心理症状があります。蜘蛛に対する嫌悪や恐怖が日常生活を一部困難にするようなものです。小さい蜘蛛が家の中に現れただけでパニックになり、引っ越しをする人もいるとか。モントリオール大学の付属病院ではその蜘蛛恐怖症を行動療法で治療・改善しようという四週間のプログラムがあるのだとか。蜘蛛の絵を遠くから見るだけで鳥肌が立っていたような人が、四週間後にはタランチュラを手づかみできるようになるのも珍しくないとか。その行動療法を研究した研究者は、脳の電位図なんかも調べて、蜘蛛を見たときの脳内での反応部位が四週間で変化していくさまを発表したのだそうです。

この研究者の次の研究対象は「鬱病」。鬱病には現在は投薬治療が一般的に行われていますが、人によっては副作用がひどかったり、かえって鬱を悪化させる例もあるそうです。そういった副作用が比較的少ない行動療法を使うことによって、薬に頼らずに鬱の症状を改善しようという研究だそうです。詳しい方法までは分かりませんが、この研究者の専門は脳生理学なので、カウンセリングのやり方も心理学的なアプローチとは違うのでしょう。それにしても「怖いと過剰に感じる」ような恐怖症と、「やる気が起きない・何も感じられない」という鬱とが、似た方法で解決できるとすれば、興味深いです。