Octavarium, Part 3

CDを買ってから「Octavarium」しか聴いていません。新しいCDを買うといつもこんな感じです。1〜2週間はヘビー・ローテーション。そして、このアルバムの暫定一位は「I Walk Beside You」、暫定二位は「Panic Attack」、そして暫定三位は「Never Enough」に認定しました。

一位は「こんなに尽くすタイプのラブソングは初めてだ」というのを感じたから。そして何度も聞いているうちに、LoveはLoveでも親が自分の息子にむけたLoveの歌だという気がしてきました。「どこにいても何を犠牲にしてもどんな敵が来ようともどんなに遠くても何があっても、隣を歩いてあげる」「全てがうまくいかなくても儚さに包まれても、日はまた昇るし時はまた来る、僕たちが家まで運んであげるから絶対に諦めないで絶対に屈しないで」なんて、親の言葉でしょう。「僕たち」という部分も親っぽいし、「家まで運んであげる」というところに「倒れても大丈夫だから崩れ落ちるまでがんばれ」という男の子供に対する視線を感じます。オフィス・メイトの韓国人がときどき見せる視線に似ています。僕もおそらくこういう視線を受けて育ったラッキーな息子。曲の最後に入っているマイナー調のアウトロは「そんなきみも巣立っていっちゃうんだね」という表現なのかなー?

二位の「Panic Attack」はJames LaBrieの歌声、そしてアレンジの妙が理由。精神的な病や症候群を歌うことの多いDream Theaterですが、パニック障害になったらこんな感じなんだろうな、というような雰囲気が味わえます。リズム変化を多く配置して混乱した状態を表現し、「恐怖症で身動きが取れない」「不安と興奮状態に支配される」「何でこんなに無感覚なんだ、前世のせいかもしれない」という歌詞も混乱状態を表現しています。4/4と12/8が交互に出てくるので、一定のテンポを保ちつつもリズム感覚が揺さぶられて気持ちいいです。そして曲の終わりに入っているシーケンスが意味不明。そのまま暫定三位の曲に続くんですが・・・。

三位もハードな曲です。イントロやギター・ソロへと続くシンセ・シーケンス部分の影響が大きいかも。そのかわりJordan Rudesの摩訶不思議な姿は影をひそめ、オーソドックスなギター・ソロが続きます。前作までで暴れすぎていたRudesがようやく温和しくなった感じ。このアルバムではシーケンスっぽいフレーズを手引きしているような音が増えているので、陰の下の力持ちに徹している気がします。それにしても「Six Degrees〜」収録の「Blind Faith」は暴れてましたなー。ひとりでソロを三回もやっちゃうんだもの。

長い曲は歌詞が理解できるほど聞き込めていないので、パスしてます。もしかしたらタイトル曲の「Octavarium」が「Panic Attack」をしのぐ精神的症候群の歌なのかもしれません。「医者が向精神薬の投薬量を増加した」とか、その後の「この副作用、誰か止めてくれ」みたいな雰囲気の歌詞もあります。「このoctavariumに封じ込められたまま!」と叫ぶエンディング直前のカウント・アップの意味はいまいち把握できてません。ひとつのフレーズを大切にして曲の最後まで何度も繰り替えすというクラシック的な作曲方法は好き。そして「These Walls」のサビ終わり近くのオクターブポルタメント上昇するシンセサイザの音は好き。

逆に暫定八位は「Sacrificed Sons」です。おそらく「Train of Thought」収録の「In the Name of God」の続編的な位置づけのこの曲ですが、曲の歌詞や編曲はともかく、ミキシングとマスタリングがだめです。MP3圧縮かけたみたいな高音域な上に、無理なファイナル・コンプレッサーをかけたせいでクリッピングしてびりびりしています。音楽を聴く前に音質が気になってしまってしょうがありません。