キャンプ道具には鉄、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属が使われています。「チタンは熱伝導率が低いから料理には向かない」などと言われることもあったりするので、どういうことなのか調べてみることにしました。
手元に少し前の理科年表(2020年版)があったので、熱伝導率(物63, p.429)を調べてみると
熱伝導率kは、面に垂直にの温度勾配があるとき、その面のの面積を通しての間に流れる熱量で表す。
となっていました。なんだか分かりにくいのですが、フライパンで考えてみると、中央の一点を熱したときに、その熱がどれだけ素早く遠くまで届くか、ということのようです。熱伝導率が高いほうが熱しやすく冷めやすい、熱伝導率が低いほうが熱しにくく冷めにくい、と言い換えることもできそうです。
物質の温度によって熱伝導率は違うようですが、p.430の表で気温に最も近い摂氏0度のところから一部抜粋してみます。物質名と熱伝導率(単位は)です。
- アルミニウム 236
- 黄銅(真ちゅう) 106
- 金 319
- 銀 428
- 鋼(炭素) 50
- 鋼(18-8ステンレス) 15
- チタン 22
- 鉄 83.5
- 銅 403
熱伝導率が高いほうから低いほうに並べると、銀>銅>金>アルミニウム>真ちゅう>鉄>炭素鋼>チタン>ステンレス、の順になっています。
金や銀は高価な素材なのでキャンプ用品に使われることはあまりなさそうですが、銅鍋、アルミクッカー、鉄板など熱伝導率が高い物質が調理器具に使われる一方で、ステンレスタンブラーやチタンマグなど熱伝導率が低い物質が食器類に使われるのも納得です(空気の熱伝導率は2.41、真空の熱伝導率はほぼゼロとのことなので、ダブルウォールになっているとさらに熱伝導率が低くなります)。
アルミニウムや鉄は温度が上がると熱伝導率が低くなっていくそうなので、熱しやすく冷めにくいという調理器具としては理想的な素材です。僕はチタンという素材が好きなので全チタンのフライパンも持ってますが、やっぱり体感としてもアルミや鉄のほうが料理はしやすいですね。