名乗らない文化

日本だと誰かに電話をするときには「シャフト企画七課の内海と申しますが、特車二課の泉さんはいらっしゃいますでしょうか」のように、まず自分の名前を告げてから電話します。でも、こっちの人を見ていると、電話をかけて誰かが出ると、第一声「やあ、あんた誰?」と聞くのです。電話を受けた側が「あんた誰?」と聞くのは理解できますが、電話をかけた側が「誰?」と聞くのです。自分が話している相手をまず確認してから、自分の名前を名乗るんですね。「やぁ、あんた誰? ジョージ? 僕はフレッドなんだけど、ルームメイトのボブにかわってよ」というかんじ。「我こそは那須の与一宗隆である!」と、名乗り続けて千年以上の文化になじんだ日本人としては、とても不思議です。