有楽町マルイについて

そういえば有楽町マルイでの取り組みについて、市井の反応はどうだろうなんて心配をして、ブログ検索をかけてみましたが、ウェブ上では見つかったのは有楽町マルイに学ぶ音楽心理学4つの技というものくらい。僕の考えと違う解釈をされると困ってしまったりもするので、ちょこっとだけ、BGM環境についてどういうふうに考えているかを書いておきます。

まず「購買意欲をかきたてる」「行動速度の制御」などは考えていません。それより僕は「雰囲気をこわさない」ということにこだわりました。やっていることは、一日のなかの気分の変化をアンケート調査し、その気分にあいそうな音楽をフロアごとに選択し、それを流しているというだけのことです。音楽の選択は1.5ヶ月に1回で、毎回50枚以上のCDを10人以上で試聴し、評価しています。フロアごとに商品や内装の雰囲気に合っているかどうかの確認も兼ねています。

キモになっているのは、アンケート調査の分析で得られた、性別・ファッション志向・年齢層などで異なる日中の気分変化パターンと、「協調」の効果です。「同じ行動をしてくれる→同じことを考えてくれているだろう→愛着がわく」という協調効果の仮説があり、それを使っています。つまり、客が抱いている気分に合った音楽を流せば気分が良くなり、滞留時間は長くなるだろう、ということです。店内に長く居てもらえれば、それだけ購買チャンスは高くなりますし、気分の良い店舗なら再来店も期待できます。もちろん音楽だけでその効果が達成できるのではなく、インテリアや空調や各テナントの影響のほうが大きいでしょう。音楽は邪魔にならないくらいでがんばればいいと思っています。

どんな店でも店舗に合った選曲くらいはやっていますが、時間帯やフロアの客層ごとに音楽をチューニングしてBGMプログラムを作っている、しかもスピーカーのチューニングも行っている、ということが新しいのです。