変化はコンシューマから?

Power Macintoshが発売された1994年、Appleはプロシューマおよびプロ向け製品である6100/7100/8100を、コンシューマ製品であるPerformaシリーズに先駆けて、登場させたのでした。Mac OS Xのときもアーリー・アダプター向けにPublic Betaを出して、「よく分かっている人」から普及させました。PowerPC G3→G4→G5という世代交代の時にも、プロ向けデスクトップ機が真っ先にその恩恵を受けました。常に新機能の登場は「つまづいても自分で何とかする・転んでもがんばれる」プロの人々を優先する、という戦略でした。

ところが来週開催のMacWorld Expoで、アップルがコンシューマ向け製品にIntelチップを搭載してくるだろう、という予想がされています。これはこれまでのAppleとは違った傾向です。Intel搭載機は開発者向けに貸与されていますが、新機能の登場がプロ向けではなくコンシューマ向けからになるというのです。これにはどんな意味があるのでしょうか。

良くとらえると「マシンの仕上がりは完璧」「PowerPCIntelチップの違いは感じられない」ということになるでしょう。Rossettaも透過的に実行され、いままでのソフトウェアもこれからのソフトウェアも意識せずに使える、という自信がないと「うまく使えないからWindowsに戻ろう」という人が多い現在のコンシューマに向けた製品は出せません。

逆に「チューニング不足」「ソフトウェア不足」ということも挙げられます。同じIntelチップを搭載することでWintel陣営と同じ土俵に上がることになるので、フラッグシップであるプロ向けマシンにはできるだけ高速なチップを搭載してWintel陣営を驚かせたいでしょう。そのためには排出される熱量をなんとかするなど、細かなチューニングが必要です。コンシューマ向けの低速マシンをリリースして、そこで出てくる問題点をプロ向けモデルにフィードバックするつもりかもしれません。

また、プロ向け市場にはPhotoshopやLogicなど計算量の大きなソフトが必要です。それらのネイティブ・コードのソフトが出ないことにはプロたちも移行ができません。マシンの速度にはあまりこだわらないコンシューマ向けを先に出して、ネイティブ・ソフトウェアが出てきて、それからプロたちが移行する、というシナリオです。